2009年6月29日月曜日

世界の蒔絵展


蒔絵は漆で絵を描いて、金粉や銀粉を蒔き、その粉の面を平らな光輝く金属面のように磨き上げる技法である。

この金属粉が砥石で研げるほど強く接着できるのは、日本産の漆の持つ特徴の一つである。この技法はどうやら日本で創始されたものであるらしく、奈良時代の正倉院にその原点を求めることができる。金銀鈿装唐太刀と呼ばれ、太刀の鞘に動物や雲が描かれている。

奈良から平安初期の蒔絵草創期は、荒い金粉を蒔き、その上に上塗りをし

研ぎ出す蒔絵が流行った。鎌倉期には武家階級の豪放な感覚の元、肉上げした高蒔絵が流行り、桃山以降は鑢の状態が良くなり、細かい金粉が作られるようになり、平蒔絵が全盛になった。

江戸時代はそれらの技法を総合的に使う肉合研ぎ打し蒔絵や、貝や金属板を大胆に使う琳派の蒔絵などの名品が作られた。

日本の蒔絵は中国にも伝わって、消し粉で描く広東蒔絵がおき、また西洋においても、日本のデザインや意匠をまねた倣製蒔絵が作られることになった。

今回の展覧会はヨーロッパ各国で作られたラックによる偽物蒔絵と、東京藝術大学美術館が所蔵する蒔絵を並べて、日本文化がどのように各国に影響を与えたかを明らかにするものである。



平成21年6月29日(月)〜7月10日(金)
9:00〜17:00  土日祝休み
初日13:00から 最終日12:00まで
総合工房棟A棟5F 漆芸研究室ギャラリー

三田村コレクションを中心に世界各国の蒔絵作品を展示

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